ホンマゴケ目
ハリガネゴケ科を中心とする目であるが、形態的にやや異なる3科(ハリガネゴケ科、チョウチンゴケ科、タマゴケ科)からなると考えると理解し易い。この3科のほかに、全国各地でよく見られるのは、ヒノキゴケ科である。残る5科は、特殊な環境に生育するため、稀にしか見ることができない。こんな仲間もあるんだ、とチェックしておくといいかもしれない。

ホゴケ科(茎が基物をはう)は、シトネゴケ目に入れることもある。

*ここがポイント
@特殊な環境で稀に生育する5科は、いずれも特異な形態をしているため、先におぼえておくとよい。
@残る4科は、葉の形、葉身細胞の形と乳頭の有無、さくの形がそれぞれ特徴的であるのて容易に区別できる。

ホンマゴケ目の科(属と種の数) 生育地 主な特徴
1 ハリガネゴケ科     (9属59種) 全国各地、土上や岩上 葉は乾くと茎をまくようにややねじれ、さくは下方に傾いたり垂れ下がることが多い
2 チョウチンゴケ科 (7属32種) 全国各地、湿った土上、岩上や腐木上 卵形〜長楕円形の大きな葉を広げていることが多い。さくは提灯をぶら下げたようにつく
3 ヒモゴケ科 (1属3種) 中部以北の高山で湿った土上に生育することが多い【やや稀】 葉身細胞は方形〜六角形で、中央に1個の乳頭がでる
4 ホゴケ科 (1属2種) 中部以西の暖地、湿った岩上、土上や腐木上 茎がはい、茎の左右にでる側葉と背面にでる背葉がある
5 ヒノキゴケ科 (1属2種) 本州以南、林床や樹幹基部に固まりをなして群生 数センチの高さになる美蘚の一つで、多くの細長い葉は乾くと房状になる
6 キダチゴケ科 (1属1種) 沖縄のみに知られる、湿った岩上【極稀】 大型で、茎は立ち上がり、樹状に枝をだす
7 ヌマチゴケ科 (1属1種) 北海道、高層湿原などの湿地【極稀】 葉が強く反り返る
8 クサスギゴケ科 (1属1種) 中部以北の冷涼な石灰岩地で、岩棚の下などの湿土上【極稀】 葉が開くとスギゴケの仲間に似る。葉身細胞は腹面側で盛り上がる
9 タマゴケ科 (6属17種) 全国各地、岩上や土上 球形のさくをつける、葉身細胞が乳頭を持つことが多い